融資で重要視される3つのポイント

融資を受ける際のポイントは大きく3つに区分して考えることができます。今回はそのポイントを整理して、希望の融資を受けることができるようにしていきましょう。

1.収益力

資金を貸してくれる金融機関にとって最も重要なことは「貸したお金がきちんと返ってくるかどうか」です。

まずは、あなたの会社がどの程度の返済能力を有しているかを確認します。

そのため、損益計算書の利益が見られます。一番最初に「黒字」か「赤字」かを確認します。

損益計算書にはたくさん「利益」と名前につくものが記載されており、一般的には売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、税引後当期純利益と5種類あります。

売上総利益

売上から売上原価を控除したもので、「粗利」といわれる利益です。

単純に売上高から原価を差し引いただけですので、まず黒字になっているかと思います。この売上総利益がマイナスだと、会社全体として平均的に原価割れ販売をしていることになります。ここが赤字の場合には融資を受けるどころか、そもそもの経営を見直したほうが良いでしょう。そのため、この売上総利益が赤字なら金融機関には相手にされません。

営業利益

売上総利益の下に表示されている利益が、営業利益です。売上総利益から、直接営業や管理に要する費用である販売費および一般管理費を差引いた利益です。営業利益は、会社の本業により生じた利益を表しています。この利益が黒字であるなら、本業は健全と言えます。

そのため、金融機関は営業利益が黒字であることを期待しています。

経常利益

金融機関が一番注目する部分になります。営業利益から直接の本業ではないが、ほぼ恒常的に生じる受取利息や受取配当金の様な利益を加算し、支払利息等の費用差引いたのちに生じる利益です。

この利益が黒字なら、企業は、営業活動、財務活動、投資活動に係る費用を控除しても、恒常的に利益が残るということです。そのため、経常利益がプラスであるのであれば、金融機関からの借入に係る利息を支払っていても利益が出ている状態であるといえます。そのため、経常利益がプラスであれば高く評価してくれます。

なお、簡易キャッシュフローで考えると、会社が返済することできる最大金額は、利益+減価償却費となります。
単純にこの額が大きければ大きいほど、より多くの融資を受けられることになります。

2.企業の安全性

残念ながら新たな事業を始めた場合、その事業は必ずしも成功するとは限りません。
金融機関は、その会社が新たに始めた事業に失敗してしまった場合、その失敗に耐えうる地力をどの程度有しているかを確認します。

一番簡単にその地力が確認できる場所は、貸借対照表の純資産の部である「資本金」と「利益剰余金等」の合計額である自己資本です。

ただし、自己資本を見るだけでは企業の倒産リスクがどれだけあるかは判断できません。企業の倒産リスクを判断する指標として「安全性分析」があります。

安全性分析は企業の財務上の支払能力を分析するものであり、短期支払能力と長期支払能力に分類されます。

さらに短期支払能力には「流動比率」と「当座比率」
長期支払能力には「株主資本比率」「固定比率」「固定長期適合率「が挙げられます。

それぞれの指標がどのようなものかご紹介します。

流動比率(短期支払能力)

流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

短期支払能力を分析する際の最もポピュラーな指標となります。

この比率はすぐに支払期限が到来する流動負債に充当することができる流動資産をどの程度持っているかを示す比率となります。200%以上が好ましい比率と言われていますが、ほとんどの日本企業が200%にはるか及びません。

当座比率(短期支払能力)

当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

流動比率と異なる部分として、流動比率は分子に流動資産を用いますが、当座比率は分子に当座資産を用います。流動資産には棚卸資産が含まれています。この棚卸資産は売却しなければ現金化することはできないいことから、短期負債の返済にすぐに利用できるとは限らないのです。

そのため、流動比率の好ましい比率といわれている200%に達していたとしても、そのほとんどが棚卸資産である場合には、すぐに負債の返済に充当することができません。

当座資産とは、現金預金、売掛金、受取手形、有価証券になります。流動資産の中でも、もっとも早く現金化しやすい資産を言います。一般的には、当座比率が100%を超えていれば、その企業は安全性が高いとされています。

自己資本比率(長期支払能力)

自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本 × 100

企業の総資本のうちの自己資本(返済不要の資本)の割合を示す指標になります。自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社であるということとなり、自己資本比率が高いほど利子を支払い必要がある負債が少ないことを意味します。それゆえ自己資本比率が高いほど経営の安定度も高まります。これらは同時に、金融機関から見ても安全度が高いと判断されることを意味しています。

一般的に自己資本比率が70%以上なら優良企業、40%以上なら倒産しにくいと判断される企業といえます。

固定比率(長期支払能力)

固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定資産と自己資本とを比較したもので、長期的な投資である固定資産に投資した資金が返済義務のない自己資本でどれだけまかなわれているかを見るための指標です。今までの指標とは異なり、比率は低い方が好ましく、100%以下が望ましいといわれています。

固定長期適合率(長期支払能力)

固定長期適合率(%) = 固定資産 ÷ {自己資本 + 固定負債} × 100

固定資産に投資した資金が長期の借入と自己資本である長期資金でどれだけまかなわれているかを見るための指標です。固定比率では、分母が自己資本のみでしたが、固定長期適合率では、分母に固定負債が加わっている点が異なります。

もし、固定比率が100%を超えている場合であっても、固定長期適合率が100%以下であれば、固定資産への投資は健全であるという判断になります。

以上、企業の安全性を測る指標をいくつか案内いたしました。ご自身の会社が今どの状況にあるのか、正しい分析を行い、状況を把握することはとても大事なことです。

3.決算書の見られ方

金融機関が起業の収益力と安全性を重視することは1、2でお伝えいたしました。

今回は1、2を踏まえたうえで、金融機関がどのように決算書をみているのかを記載いたします。

資産項目

1.在庫、売掛金

実際はそこまで利益が出ていないにも関わらず、大きな利益が出ているように見せるために、在庫や売掛金の残高を架空計上する会社が、少なくないからです。 俗にいう粉飾ですね。

また、在庫は実際には販売が不能であるような不良在庫があるのかどうか、売掛金についても回収が困難であるような不良債権があるのかどうかに注目していきます。

2.固定資産

固定資産ついては、正しく減価償却を行っているかどうかに注目していきます。もし、利益を出すために減価償却を行っていない等の場合がある場合には印象は良くなりません。

減価償却とは

3.貸付金

決算書に貸付金がある場合、特に経営者や関係会社への貸付金がある場合には金融機関からの印象は大きく悪くなります。金融機関からすると融資をするのは「会社」であり経営者に融資をしたわけではありません。経営者や関係会社に融資をした金銭を又貸しされるのではないか、と考えます。

負債項目

1.借入金

貸付金とは逆に、経営者からの借入がある場合には、その経営者からの借入れは外部に返済したくてもよい自己資本と同様のものと捉えられます。

また、借入金の残高自体にも注目してきます。製造業等の設備投資が大きくなる業種等、一概には言えない部分もありますが、一般的には月の売上高の3月分までが、適正な借入残高であるとよく言われています。月の売上高の6月を超えてくると金融機関からは良い印象は受けない可能性が高くなります。 

4.まとめ

金融機関からの印象が悪くなってしまう決算書だったとしても金融機関に納得してもらえるような事業計画書を作成すれば融資の審査に通る可能性も高くにあります。事業計画書には、過去の経営実績を冷静に分析し、企業をとりまく外部環境のプラスとなる点やマイナスとなる点を加味し、経営の強み、弱みを客観的に見つめる必要があります。

事業計画書の作成方法がわからない方や、ご自身が作成された事業計画書に不安がある方はお気軽にお問い合わせください。

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