申告期限の延長の特例

会社を設立した後に税務署や各都道府県、市区町村役所へ提出する資料をご紹介しましたが、そこに「申告期限の延長の特性の申請書」というものを案内いたしました。

起業後の手続き(法人、税務署)

起業後の手続き(法人、県税:市役所)

この種類がどのようなものか、なぜ提出したほうが良いのかをご紹介いたします。

 

1.メリット

法人税の申告期限は基本的に「事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日まで」と定められております。

要するに決算月の末日から2か月後までに税務署へ申告書を提出する必要があります。

しかし、法人税の申告は株主総会で承認を受けた決算書に基づいて行う必要があります。

監査法人等からの会計監査に時間を要するなど、本来の申告期限である決算から2月以内に決算が確定しない場合があります。そのようなときは当該書類を提出することにより申告期限を延長することができるのです。

 

2.条件

申告期限の延長の適用を受けるためには条件があります。

①定款に「当社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3カ月以内に招集する」となっていること。

定款でこの部分が「2カ月以内」となっている場合には、定款の変更が必要になります。定款の変更には費用が生じてしまいますが、できれば定款の変更をした方が良いでしょう。

 

②適用を受けようとする事業年度終了の日までに当該申請書提出すること

もし提出を失念してしまった場合には、翌期からの適用となります。

 

なお、申請書の記載事項に「延長を受ける理由」の記載欄があります。

こちらには「定款において、定時株主総会の収集が事業年度末の翌日から3か月以内と定められているため」とでも記載しておけば良いでしょう。

3.納税の注意

この申請書はあくまでの申告期限の延長です。

そのため、納税期限については延長されません。納税については、決算月の末日から2か月以内に行う必要があるので、ご注意ください。

じゃあ延長する意味ないじゃん!!

と思われる方もいると思います。

そうではありません。

提出期限までに決算の数字がかたまっていなくても、1か月の余裕ができるです。これって大きなことだとは思いませんか?

 

それでは、納税の流れはどうなるのでしょうか?

決算の数字が2か月以内にかたまっていない前提でお話をします。

①一旦決算月の2か月後に「見込納付」というかたちでとりあえずの税額を支払います。

②その後、3か月後に締まった決算の数字で正しい税額を計算し直して

 ・見込納付をした金額が少なければ、差額を追加納付

             or

 ・見込納付をした金額が多ければ差額が還付される

といった流れになります。

 

なお、見込納付をした金額が少く、差額を追加納付した場合には「利子税」が課せられますので、資金繰りに余裕があれば見込納付を多めに行うことをおススメします。

4.消費税の申告について

税務署には法人税のみではなく、消費税の申告を行っている方も多くいらっしゃいます。

この申告期限の延長は法人税の特例となっており、消費税は対象外となりますので、ご注意ください。

そのため、2か月以内に決算が固まらなかった場合には、

①2か月後に一旦仮の数字で消費税申告(及び納税)を行う

②その後、正しい決算の数字で期限後申告又は更正の請求を行う

といった流れとなります。

5.地方税への提出も忘れずに

「申告期限の延長の特例の申請書」を提出した場合には、忘れずに地方役所へ当該書類も提出するようにしましょう。

理由はこちら

起業後の手続き(法人、県税:市役所)

6.まとめ

もし、申告期限の延長の適用を受けずに申告期限までに申告書を提出できなかった場合には、延滞税や利子税、加算税等の附帯税が課せられてしまう場合があります。

不測の事態が生じてしまい、申告期限までに申告書を提出できない場合も十分に考えられます。リスクヘッジをするためにも申告期限の延長をするようにしましょう。

 

以上、申告期限の延長について説明しましたが、決算は毎年やってくるものです。

そのため、きちんとした決算スケジュールを立て、申告期限間近でバタバタしないよう余裕をもって申告手続きを進めるようにしましょう。

 

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